前立腺肥大症
どんな病気?
前立腺は男性にしかない生殖器のひとつで、前立腺液といわれる精液の一部を作っています。精液中の20%前後が前立腺液といわれており、精子を保護し、精子の活動を活発化させる役割を担っています。一般的な成人男性での前立腺の大きさは約20gで、よく「胡桃大」と表現されます。前立腺肥大症とは、前立腺が肥大して様々な排尿の症状を引き起こす病気です。前立腺は直腸と恥骨の間に位置し、膀胱の出口で尿道を取り囲んでいます。このため、前立腺が肥大すると、尿道が圧迫されて、排尿に関わる症状が、いろいろと出現するわけです。 主に前立腺肥大は、尿道の内腺に発生し、前立腺癌は外腺に発生します。前立腺肥大症は前立腺癌とは違って、良性の病気です。
前立腺が肥大する原因は、まだはっきりとは解明されていませんが、「男性ホルモンの働き」が関与していると言われています。中年期に差し掛かって男性ホルモンを含む性ホルモンの環境の変化により、前立腺が肥大すると考えられています。最近では、肥満や高血圧、高血糖、脂質異常症と前立腺肥大症との関係を示す研究もなされています。
検査の方法
- 自覚症状の確認
- 世界共通で使用されている国際前立腺症状スコア(IPSS)で症状の程度を調べます。
- エコー検査
- エコーで前立腺の大きさや残尿の有無を調べます。
- 尿検査
- 尿の濁りや尿路感染症の有無などを検査します。
- 尿流測定
- 尿の勢いや排尿量、排尿時間などを検査します。
- 残尿検査
- 排尿後に残っている膀胱内の尿の量を測定します。
- PSA検査
- PSAはタンパク質の一種で血液中にも含まれています。前立腺癌や前立腺肥大症によりPSA濃度が上昇するため血液検査を行います。
治療の方法
大きく分けると薬物治療と手術療法です。
- 薬物には膀胱や尿道の筋肉に作用し排尿の症状を改善する薬や前立腺自体を小さくする薬があります。投薬療法でも症状の改善がうまくいかない場合は手術による治療が行われます。
- 手術もいろいろ方法がありますが通常は開腹手術ではなく尿道から内視鏡を挿入して行う手術で前立腺容積を小さくするような方法が一般的です。
- 手術